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現在、南シナ海が中国とベトナムの紛争という形で「ホットスポット」となり、日本でも尖閣以来の注目を集めている。
6月5日の『中国評論』は
「南海又成熱點 中國如何應對」と題してこの問題に対する中国側の意見を様々に論考しており、その中には様々に興味深い記述も見られる。具体的にいえば、中国は民衆レベルでは南シナ海での更なる強硬手段を望んでいるが、一方で政府は周辺国家との関係を破壊したくはないという指摘である。
しかし原則として中国はこの海域における領有権を主張しているわけであり、基本的にこれを放棄することはあり得ない。
1936年に晉察冀日報社から発行された中国共産党の文献には、以下のような記述がある。
日本は朝鮮・台湾・琉球・澎湖諸島・旅順、イギリスはビルマ・ブータン・ネパール・香港、フランスは安南(ベトナム)、更にポルトガルの如き小国までもが我らの澳門を奪った。
これこそが中華思想的な領土認識であり、失地恢復の狂乱的ナショナリズムに直結しているのである。
そのような中、
マニラからの情報によると、世界のシーレーンの中でも最重要な場所であり、チョークポイント[咽喉點]でもあるマラッカ海峡で米軍とアセアン五カ国が合同演習を行ったという。このニュースは中国は勿論、日本でも報道された。
輸入する石油の80パーセントがマラッカ海峡を通過する
[※]ため、これは非常に大きな意味を持ってくる。
しかし中国は、その重みを知っているからこそ、マラッカ海峡封鎖を無効化する戦略をも進めている。
これについてもいずれ書きたい。
また、現在、広東省で三日間連続で暴動が起きているが、この背後にあるのは中国の政策の捩れにより悲鳴を上げている可哀そうな中国の労働者たちの悲鳴ではないか。
暴動場所は以前、内職や工場含め世界の「ジーンズの産地」と形容された場所である。
しかしながら内陸からも人々が出稼ぎに来ていたその場所は、今や中国の経済成長に伴って人件費も上がり、海外の企業はベトナムやバングラデシュへ移転を実行した。
詳細は以前イギリスの
『The Daily Telegraph)』紙が
「The end of China's cheap denim dream」と題して報じていたが、この地区でかつて5千を数えたジーンズ工場も、現在はかなりの数が閉鎖したという。
その結果雇用は消滅し、現在の暴動の背景として少なからず影響を与えていると考えられる。
こういったリスク、所謂「チャイナ・リスク」が有るが故に、海外の企業は工場を移転させて正解だったと言える。しかし、現地に於ける雇用の消滅が直接的に繋がっているとするならば、海外の企業が江場を移転させたが故にこのような暴動が発生したとも言える。いずれにしても中国経済のけん引役である広東省のこの動きは、中国の今後を考える際の一例としては、最悪のシナリオ通りではないだろうか。
以前筆者は澳門から大陸中国の集落へ入ったが、そこでも現地の主婦が内職のジーンズを干していた姿を思い出す。彼女らは今も、路地裏に青いジーンズを連ねているだろうか。