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「謀略鉄路」(2)

(続き)



  先述の国際情報誌『SAPIO』の最新号では「中国のシルクロード高速鉄道計画」として中国が中央アジアへ積極的なアプローチを進めている内容が書かれていた。

  同誌の特集では、主要な鉄道計画のイメージとして、黒龍江省~ヨーロッパ、ウルムチ~ヨーロッパのルートが示されていた。

  前者の「黒龍江省~ヨーロッパ」ルートに関しては、中国東北部からシベリア鉄道を経てのロシア経由の欧州行ルートということである。中国東北部の交通発展は近年急速に進んでおり、1999年に着工された同地区の中心都市・瀋陽に至る秦瀋旅客専用線[秦瀋客運專線]はすでに2003年10月に正式開業している。現在は、CRH(China Railway High-speed[中國鐵路高速]、和諧号[和諧號]として知られる)による高速鉄道が運行されている。
  この交通整備の動きは鉄道だけではなく道路も同様であり、先月4月30日の『遼寧日報』が報じたところによると、遼寧省は11本の高速道路を改名し、今後「瀋大高速」や「瀋丹高速」などの名称が次第に使われなくなり、替って「G15瀋海高速」や「G1113丹阜高速」など新たな名称となるという(遼寧省人民政府・政府信息「我省11条高速公路統一“改名”」、大連晩報「“瀋大高速”將更名爲“瀋海高速”」)。
 新華網でも報じられたこの動きは、明らかに中国東北部全体の交通網整備、そして背後に控えている交通網拡大の動きを予想させる(新華網・遼寧頻道より「我省11条高速公路統一“改名”」――具体的な地図アリ)。

  後者の「ウルムチ~ヨーロッパ」ルートに関しては、これまでにもシルクロード鉄道として知られた蘭新鉄道(蘭州~新疆)の延長ということであり、もっとも解り易くまた開発の盛んなルートとして、このユーラシア大陸を連絡する「チャイナ・ランドブリッジ(CLB)」計画を知っている方も多いだろう。この構想の中ではアジア開発銀行(ADB)の支援を受けて、1992年に中国の連雲港からオランダのロッテルダムまでの鉄道が一応の開通を実現させている。
  先に述べた「ビジネス・ニュー・ヨーロッパ」紙の記事“China opens up way for Kazakh grain exports to Asia”で述べられたカザフスタンへのアプローチも、ADBがアゼルバイジャンで貿易金融プログラムを行ったというのも、その流れの中の動きの一つである。
  ユーラシア諸国を連結し、物流を発展させ国益へつなげるという国際的なこの構想は中国の外交方針でもある。この流れの中で2006年、中国国内の中で唯一の難所とも言えた海抜3562メートルの分水嶺「烏鞘嶺」に、峠を山脈ごとぶち抜く長大な「烏鞘嶺トンネル[烏鞘嶺隧道]」が完成し、蘭州~ウルムチ間の鉄道に於いて全線複線化工事が完了した(新華網「中國最長鐵路隧道‐烏鞘嶺特長隧道雙線開通」)。
  私も実際に2003年、2004年にこの峠を通過し、中国の鉄道関係建設会社「中國中鐵(中國中鐵股份有限公司。CREC:China Railway Engineering Corporation)」「中鐵二局(中國中鐵二局集團有限公司)」が新線の建設を進める様子を観察している(……「中國中鐵」は中国の鉄道を建設する中国中央企業である。「中鐵二局」以外にもこのトンネルの建設には多くの「中國中鐵」の局や部署が関わっている。なお「中鐵二局」の前身は1950年に成立した「西南鐵路工程局」である)。

烏鞘嶺新線
▲烏鞘嶺新線の建設を進める「中國中鐵」(これは「中鐵一七局」)。筆者撮影。



  この方面での動きはまさに「シルクロード」の言葉にふさわしい、中国の戦略構想の着々とした実現の段階にあるといえよう。

  しかし、私はそれ以上にもう一つ触れておきたい方面を指摘しておきたい。それが同誌の中でも触れられていたもう一つのルート、雲南省昆明からタイ、マレーシアを経てシンガポールに至る路線である。

  以前の記事にも書いたが、中国は南方に対してはミャンマー・ラオスへの道路を整備して進出拡大を図っているのだ。ベトナム戦争から中越戦争にかけてのインドシナ北部においては、中国によって戦略道路が山岳地帯に建設され、「三線建設」計画のもとに昆明へ達した成昆鉄道(成都~昆明)を通じて中国が援助すべき対象に後方支援を行った事実がある。
  繰り返して書くが、陸路の交通網を整備して浸透を深め影響力を確保・拡大していくのは、ウイグル・チベット以降も連綿と続く中国の基本的な戦略なのである。

  最新のニュースを紹介する。
  5月25日の『中國物流與採購網』「中老全面加強交通輸領域合作」という記事を書いているが、その中の要旨を取り上げる。

  中国とラオスは交通運輸分野での協力を全面的に強化する。
  友好協力関係の引き続き深い発展に伴い、各領域の交流と協力は絶えず拡大する。
  特に交通運輸の領域では、双方はすでに一連で重大な工事の協力プロジェクトを展開し、昆曼公路(昆明・バンコク道路)を含んだ、フェイサーイ・チェンコーン大橋でのメコン川航路改善工程に。


 この「フェイサーイ・チェンコーン大橋でのメコン川航路改善工程」については、5月15日の『泰國世界日報』(台湾『聯合報』系列のタイの華字紙)が、「第4座泰寮友誼大橋擬2012年通車」と題して詳細を報じている。

  運輸部長は、タイ・ラオス両政府がメコン南北経済回廊計画の両国間の4つ目の「タイ=ラオス友好橋[泰寮友誼大橋]」建設に署名と発表した。
  総投資金額は15億バーツで、その半分は中国政府から提供
  計画は2012年11月に竣工して開通と昨日(14日)発表。
  橋の建設後、更に便利になるタイ・ラオス両国の交通は、両国の貿易投資の発展を連絡して促進。
  同時にチェンライから中国の雲南に到達する1本の便利な通路を通じさせることにより、中国とメコン川流域の経済、貿易、投資を加速。
  友好橋の設計などは、「中國鐵路局第5工程建築集團」とタイの「泰國功吞工程有限公司」が14億バーツ強の施工工程。
  ラオスは内陸の国家で、多く道と橋梁と隣国の連絡を建造するのがとても重要である。…8年の考証を経てやっと決定し…中国南部とメコン流域の幹線R2Aにつながり…設計と建設基準は高い。



  筆者は国道3号線を南下して中国国境地区から記事中の街フェイサーイへいたる道を辿ったが、その道は非常に整備されており、設計と建設基準の高さを感じさせた。

国道三号線
▲ラオス国道3号線。筆者撮影。



  また、フェイサーイはメコン河に面しており、ここフェイサーイ(ラオス)と対岸のチェンコーン(タイ)間に橋ができれば、ラオス北部のボーテンから国道3号線を経てすでにフェイサーイまで道路が整備されているため、雲南からバンコク、すなわちインド洋までの陸路が完備された形となる。設計と建設基準の高い」それは、間違いなく中国のシーレーン掌握、インド洋進出の手助けとなろう。

フェイサーイ
▲フェイサーイの街とメコン河。対岸はタイのチェンコーン。



  南方への中国の陸路について、中国南部の国境線を持つ雲南省・広西チワン族自治区の連動する経済活動とともに、鉄道だけではなく道路なども含めて考えていきたい。



 (続く)
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  1. 2010/05/25(火) 21:37:27|
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