BLOG「獨評立論」

BLOG「獨評立論」です。ブログ名は「獨り評し論を立てる」の意。主にアジアを中心にニュースや体験などから「獨評立論」を行います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

減速する中国の外交力と周辺地域動向(2)

(続き)

1.3.5 主体(チュチェ)思想国家・北朝鮮――「我々式(ウリ式)社会主義」

  いずれにせよ、張成沢処刑は事実上、予告されていたことだった。金正恩は父から受け継いだ“与えられた”権力を早期に“勝ち取った”権力に切り替えなければならなかった〔12〕
  それはあたかも、毛沢東がスターリン死去後に高崗を服毒自殺に追い込み、前後して「十大関係論」を発表したかの如しである。毛は1956年4月に発表した「十大関係論」の中で、中国独自の社会主義を築こうと呼びかけ、老子党(おやじ党)を気取る大国への盲従主義を批判し、向ソ一辺倒主義を批判している〔13〕
  北朝鮮の金日成も、中ソの対立激化の最中である1965年4月に、インドネシアで「朝鮮民主主義人民共和国における社会主義建設と南朝鮮革命」と題した演説を行い、一国の独立には「思想における主体」「政治における自主」「経済における自立」「国防における自衛」が欠かせないと講和〔14〕。チュチェ(主体)の概念を提唱し、のちに固定化させている。
  これは金正日政権下でも一貫しており、だからこそ金正日は金正恩に対して「朝鮮民族2000年の敵として歴史的にわれわれを最も苦しめた国が中国」「中国は今後、最も警戒すべき国となる可能性がある」との遺言を残したのである〔15〕

   2012年4月13日韓国中央日報12面
   ▲2012年4月13日『中央日報』(クリックで大きくなります)

  現在の最高指導者である金正恩は、張成沢粛清後の2014年元日、新年の辞において以下のように述べている〔16〕。

  「わが党は昨年…(略)…党内に潜んでいた分派の汚物を除去する断固たる措置を取りました」
  「われわれの制度をむしばむ異質な思想と退廃的な風潮を一掃するたたかいを強力に繰り広げて、敵の思想的文化的浸透策動を断固粉砕しなければなりません」
  「国の統一問題を…(略)…外部勢力を排撃し、『わが民族同士』の立場を堅持しなければなりません」
  「わが民族の問題、北南関係の問題を外部に持ち出して『国際共助』を請うのは、民族の運命を外部勢力の玩弄物にする恥ずべき時代主義的な売国行為です」





2. ミャンマー ――「最後のフロンティア」

  以上、北朝鮮周辺諸国の一つとして、北朝鮮におけるトピックスを取り上げ、中国の影響力の代理人でもあった張成沢粛清の動きを整理した。次に、当ブログの観察対象でもある対ミャンマー政策の近年の動向と、そこにみられる中国の外交力の低下を論じていく。ミャンマーは現在、日本の対アジアビジネスにおいても「最後のフロンティア」として熱い視線が注がれている。

2.1 ミャンマーにおける中国の核心的利益

  ミャンマーという国家は、中国の核心的利益に直結する国家である。2010年7月6日の『中華工商時報』が指摘しているように「1枚の世界の地図を広げ、中国からインド洋への最短ルートを探せば、視線は最後に南西で辺境の雲南省にロックされる」〔17〕のであり、同国は中国からインド洋への最短ルートに位置するが故に、ミャンマー情勢の変化はダイレクトに、雲南省を拠点として西南方向への影響力拡大を目論む中国の戦略に作用する。
  中国はミャンマーにおける様々な権益を「核心的利益」とは呼んでいない。それを国際社会に主張すれば、間違いなく内政干渉であり、反発を呼ぶからである。しかし事実上そう考えていることは間違いない。
  実際にミャンマーと核心的利益を結び付けて報道したのは、2010年6月3日の新華社系の報道である〔18〕。温家宝総理(当時)はミャンマーのネピドーで、テイン・セイン首相と会談し、「中国の核心的利益に関わる重大な問題におけるミャンマーからの長年にわたる貴い支持を賞賛する」と述べている。これは日本でも話題の東南アジア海域での領土紛争において、軍事政権であった当時のミャンマーが同地域諸国の中でも中国寄りの姿勢であったことを指す。加えて、ミャンマー国内における権益を指しているとも考えられよう。当時、両国は蜜月関係にあった。
  2010年は、中国の対東南アジア外交が最も活発化していた時期でもあり、このブログでも着々と進む中国の戦略動向とその背景を観察していた。ちょうどその時期は、中国・ミャンマーの国交60周年記念であり〔19〕、温家宝はアジア諸国歴訪の最後にミャンマーを訪れ、大々的に歓待を受ける。当時ミャンマーは「中国帝国主義の最初の犠牲者」とまで呼ばれ〔20〕、中国のインド洋への勢力拡張の一大拠点としての位置づけを日増しに色濃くしていた〔21〕

   中国の温家宝首相がアジア諸国への訪問で最後にミャンマーに到着したことを報じる「人民日報」記事
   ▲温家宝のミャンマー訪問を伝える、2010年6月3日『人民日報』(クリックで大きくなります)

  そのミャンマーにおける具体的な権益とは一体何なのか。その後、現在に至るまでどのような経過をたどったのかを見ていくことにする。

(続く)



※12 【時論】金正恩の独り立ち後
   (2013年12月30日『中央日報』日本語版)
※13 论十大关系――毛泽东
   (1956年4月25日政治局拡大会議で発表、1976年12月26日『人民日報』で公開)
※14 金日成演説「朝鮮民主主義人民共和国における社会主義建設と南朝鮮革命について」
   (1965年4月14日、インドネシアのアリ・アルハム社会科学院で行った講義)
※15 김정일 유훈 … 중국, 가깝지만 가장 경계할 국가
   (2012年04月13日『中央日報』、当記事の画像参照)
※16 新年の辞 二〇一四年一月一日 金 正 恩
   (金日成・金正日主義研究会『金日成・金正日主義研究 第148号』, 2014年)
※17 雲南:内陸邊陲成了開放前沿
   (2010年7月6日『中華工商時報』)
※18 溫家寶與緬甸總理登盛舉行會談
   (2010年6月3日『新華網』)
※19 中缅总理共同出席两国建交60周年庆祝活动
   (2010年6月3日『人民日報』、当記事の画像参照)
※20 Is Burma the first Causality of Chinese Imperialism ?
   (2010年5月27日『Asian Tribune』)
※21 当ブログ過去記事参照。シリーズ記事「謀略鐵路」(全10回)など。












「この記事は好評価」なら… ⇒ 下のバナーをクリック!

人気ブログランキングへにほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへにほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へブログ王へ




スポンサーサイト
  1. 2014/03/23(日) 04:19:36|
  2. シリーズ記事「減速する中国の外交力と周辺地域動向」(未完)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<減速する中国の外交力と周辺地域動向(3) | ホーム | 減速する中国の外交力と周辺地域動向(1)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://dupinglilun.blog134.fc2.com/tb.php/50-878d56d4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

時計


BLOG「獨評立論」

BLOG「獨評立論」です。ブログ名は「獨り評し論を立てる」の意。筆不精ですが、主にアジアを中心にニュースや体験などから「獨評立論」を行います。

Author:DUPINGLILUN
一人の日本人です。一切の企業、団体、宗教等とは無関係です。/ngóa sī Ji̍p-pún-lâng kì-chiá./yat boon yan/JAPANESE

ブログランキング

ブログランキングに参加しております。良い記事であると御評価下さる方は、ぜひバナーのクリックを御願いします。

人気ブログランキングへ にほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へ
ブログ王へ

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

獨評立論-未分類 (0)
獨評立論-中国 (23)
獨評立論-日本 (0)
獨評立論-朝鮮半島 (3)
獨評立論-東南アジア (7)
獨評立論-媒体 (2)
獨評立論-その他 (1)
シリーズ記事「謀略鐵路」 (10)
シリーズ記事「減速する中国の外交力と周辺地域動向」(未完) (16)
獨評立論-詩詞 (2)

過去記事全リスト

検索フォーム

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSリンクの表示

書棚

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。