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2011年末の雲南関連動向(2)

(続き)



7. 関連動向の中で見えてくる変化

7.1 人事的な変化

  今月12月初め、雲南省とその省都・昆明では人事が刷新された。

  雲南省は先に述べたように、現在すでに“東南アジア、南アジアに面しての橋頭堡を建設する”という今後のヴィジョンに関しては、国家の支持と歴史的機会を獲得しており(そもそもこの「橋頭堡」というヴィジョンが中央政府肝いりの「御高配」なのである)〔※16〕、その省都で唯一の大都市である昆明での人事変動は注目される。

7.2 人事変動での注目人物

  雲南省委員会常務委員で昆明市委員会書記の仇和氏が、昆明市委書記の職務を去ることが発表された模様である。
  12月3日、昆明市の全幹部が注目するなか、仇和は「情系昆明造福人民」という「離職感言」を発表した。今後は雲南省委員会副書記として赴任するという。後任の昆明市委員会書記としては、雲南宣伝部部長の張田欣が決まった〔※17〕

  この仇和という人物は江蘇省出身で中国でも数少ない個性的な官僚であり、「最具爭議的市委書記=最も論議に富む市委員会書記」と呼ばれる。
  賞賛も非難も含め、評価は非常に明確に分かれる人物なのである〔※18〕

   彼は “中国改革功勋(贡献)人物奖”、“十大中华经济英才”奖、中国改革30年改革之星の称号、“中国城市发展改革创新模范人物” 奖を獲得している人物である。



8. 人事変動での注目人物から見る雲南

8.1 雲南の環境向上

  仇和を賞賛する例としては、まず最初に彼は改革開放政策の中でも非常に目立って優れた人物であるという声が以前よりある〔※19〕
  都市景観の変化や、市民行政の効率化、公共精神の向上、清浄な都市河川の実現、滇池(雲南省最大の湖で中国第六の淡水湖、面積297.9平方キロメートル、海抜は1886メートル、昆明市の南西に位置する金沙江水系の湖)の水質改善、迅速な輸送体系の確立など、実際に昆明市民らとも明確なコンセンサスを得られ、彼自身も意気込んでいたという。
  とりわけ滇池の水質改善については、2010年の8月31日~9月3日に、昆明市政治協商会議主席である田雲翔および昆明市副市長である趙徳光の両名が率いる昆明市党・政府代表団が、シンガポールを訪問し、「アジア5時間航空圏」エリア内でマレー半島最南端に位置するシンガポールを昆明の近隣と位置づけると同時に、シンガポールの持つ先進的な水処理技術を滇池の点検に用いて管理するビジョンが表に出されている〔※20〕
  個人的には、同時期に東京都の水道技術をめぐってマレーシアのエネルギー・環境技術・水大臣であるピーター・チン氏が石原慎太郎知事を表敬訪問しており、シンガポールとマレーシアの歴史的経緯と合わせても興味深い流れであった。

8.2 ネットワーク立体化

  仇和は昆明市の建設のためにスローガンを掲げて自ら取り組んでいく傾向のある人物のようで、2008年3月には“滇池流域城乡一体化”を、2010年3月には“全域城乡一体化”を、2010年10月には“全域城镇化”を掲げるなどし、一方で同時期に昆明は様々な称号を得ている。
  具体的には「中国で最も幸せな都市」「中国で最もソフト面で充実した都市」「国連が選ぶ住みやすいエコ都市」「国家庭園都市」「中国の国際イメージにおいて最高の都市」などである。

  雲南省が以前「都市と農村のネットワークの立体化」を掲げて、農村-都市問題の解決と発展を図ったことがあった。〔※21〕
  貧困地区の経済協力構造を成立せしめ、そうやって形成された初歩的なプラットフォームが雲南を拠り所にすることによって、対外開放へさらに展開可能な環境整備を行い実現していくという、非常に社会科学的な論理に基づく政策である。
  具体的には、箇旧・開遠・蒙自の三都市の連合による「都市と農村の総合的なワンセット改革」を進めての「都市と農村を強化して一体化」を建設する動き、などである。

8.3 否定的な見地から

  以上のように見ていくと、仇和を中心とした雲南省政府のビジョンは、中央から見た学者肌の官僚的な政策であるとも言える。「像商人一樣經營城市=商人の如く都市を経営する」として反発する声も当然のように存在する。
  彼の出身地区でもある江蘇・浙江一帯の経済とのインタラクティブな動きを勧めたものの、それは結局は雲南現地企業の発展には大した貢献となっていないとも言われる。
  昆明の建設工事においては80%以上が外地企業に引き受けられ、もともと後進的な雲南企業は受動的になっている傾向があるというのだ。

  また、彼はしばしば強硬的な手段で改革を進めることもあり、その結果として「最具爭議的市委書記=最も論議に富む市委員会書記」と呼ばれるようになったということであろう。


8.4 人物に見る官僚論

  面白い指摘としては、彼の新中国建国後の官僚文化の象徴とみる向きである〔※22〕〔※23〕。テクノクラート出身者や学者出身の政治家は昨今の中国ではかなり数が増えてきたといえる。
  それは、革命戦争を戦う・軍を率いてのし上がる・地方の利権集団から閥を形成し影響力を拡大するなどの方法で政治に参画してきたかつての政治家とは異なるスタイルでの台頭を指す。
  チベット弾圧などの例もあるとはいえ、胡錦濤や李克強、遡れば朱鎔基らもその典型に含めることができる。



(続く)




【参考】

※16 云南宣传部部长张田欣接替仇和任昆明市委书记
    (2011年12月2日『中国新闻网』)
※17 「謀略鉄路」(5),第2段落
    (2010年6月12日 本ブログ過去記事)
※18 昆明告别仇和时代 铁腕改革模式遭质疑
    (2011年12月15日『时代周报』)
※19 仇和荣膺中国改革开放30年杰出人物
    (2008年12月1日『人民网』)
※20 春城狮城谱写“双城记”
    (2010年9月9日『云南日报』)
※21 「“橋頭堡”戦略」関連情報 (7)
    (2010年11月16日 本ブログ過去記事)
※22 專家解讀個性官員現象
    (2011年12月12日『香港新浪』)
※23 中国的“良心”:解读个性官员
    (2011年12月13日『环球人物杂志』)


















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