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マラッカ海峡封鎖を無効化する中国の戦略と、中国・ミャンマー国境付近での武力衝突

  今回は、先の記事「マラッカ海峡封鎖を無効化する中国の戦略と、広東省の暴動」で触れた中国の戦略と、その地域に関する考察を書く。



1.マラッカ海峡封鎖を無効化する中国の戦略

1-1.中国の戦略ルート

  先の記事「マラッカ海峡封鎖を無効化する中国の戦略と、広東省の暴動」で述べた中国の戦略とは、現在中国が進めている中国本土からの直接的な対インド洋進出である。

  輸入する石油の80パーセントがマラッカ海峡を通過する(※1)ため、中国にとってマラッカ海峡を経由しないインド洋へのルート開拓は戦略的に大きな意味を持ち、それが実現できればマラッカ海峡封鎖を無効化することが可能になるのである。

  その骨子は、雲南省からのミャンマー経由での陸路によるインド洋(ベンガル湾)進出、及び新疆ウイグル自治区からのパキスタン経由によるインド洋(アラビア海)進出であり、このラインが中国の政策の中でも独自外交のひとつの軸となっている。

1-2.注目される雲南からミャンマーへのルート

  特に前者の雲南省からミャンマーを経てインド洋(ベンガル湾)に至るラインは、最近の動向を見る限り、非常に重視されていると言える。後者のパキスタン経由で中東へ抜けるラインは、海抜4,693メートルのクンジュラブ峠を通る形になり、そのルートに重なるカラコルム・ハイウェイ[The Karakoram Highway: KKH]に中国政府も整備を行っているが(そもそもカラコルム・ハイウェイは中パ両国によって完成している)、実際に物流・運輸の面に於いてルートを複数確保する必要性もあり、前者のミャンマー経由のラインにもテコ入れを開始している。

  その戦略こそが、2009年7月に胡錦涛国家主席が雲南視察時に「雲南を我が国の西へ南の開放的な重要たる橋頭堡とならしめる」と言ったことから始まる「橋頭堡戦略」であり、このブログでも特に注目している国家戦略である。

1-3.マラッカ海峡封鎖の無効化

  現在上述のルート上には、アフリカ北部と中東から輸入される中国向け石油の80%パーセントを運ぶと分析される石油パイプライン計画が存在する。
  つまりこのパイプラインが完成すれば、石油の大半はマラッカ海峡を経由せずに中国国内へ運ぶことができるのであり、シーレーンならぬランドレーンが完成するのである。輸送コストの面からも利点は当然存在するが、この完成により、中国はマラッカ海峡を封鎖されても石油を手に入れることができるようになり、むしろマラッカ海峡を封鎖すれば、中国は自国向けの石油を入手しながら台湾や日本向けの石油輸送をストップさせることが可能になるのである。



2.中国・ミャンマー国境付近での武力衝突

2-1.「橋頭堡戦略」のルート上で

  そのような中国~ミャンマーのラインであるが、国境付近に位置するミャンマーのカチン州で、今月(6月)9日から、ミャンマー政府軍と少数民族カチン族の反政府武装組織「カチン独立軍」(KIA)が衝突している。現場付近では以前より中国の援助でダムが建設中であり、中国人労働者を含める避難民が国境付近で発生している。

  カチン族についての説明は省くとして、問題として指摘しておきたいのは、この周辺はダムだけではなく、まさに上述のパイプラインが存在しているという事実である。

  もとよりこの地域がデリケートな地区であり、中国が少数民族ゲリラを支援したことや、少数民族ゲリラからチークや翡翠などの天然資源を買っていたということもある。

2-2.懸念を示す中国

  しかし、今回の武力衝突事件で中国は懸念を示している。カチン軍が中国人技師を連れ去ったりしたことから分かるように、中国が建設を進める現地のダムが発火点となっているからだ(※2)。

  ダムを開発しているのは中国企業であり、ダム完成後も電力は殆ど中国へ供給されるが故に、背景には中国への対立感情が有る。ミャンマーの中央政府に対する反乱と言うよりは中国によるダム建設に対する反発からの武力衝突であり、特に南シナ海問題でマラッカ海峡の封鎖が有事に想定される状況下で、中国のエネルギー問題に直結しかねない。

  専門家は「この地区の民族関係が緊迫」「中国のエネルギー需要にとって極めて重要」と述べ、カチン軍の指導者も「私達は遊撃戦を行う」とし、中国・ミャンマー間のパイプライン襲撃の可能性を排除していない(※3)。



※1 中国仍未摆脱“马六甲困局” 80%油路在此经过
   (2011年6月10日『国际在线』)
※2 Fighting Erupts Over Chinese Hydropower Dams in Burma
   (2011年6月16日『Environment News Service (ENS) 』)
※3 缅甸克钦独立武装称暂不会袭击中缅油气管道
   (2011年6月21日『华夏经纬网』)
















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