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「謀略鉄路」(10)

(続き)



  雲南省・広西チワン族自治区は以上のような経済潮流の中にあり、現在中国の主要鉄道の一つである南昆鉄道(昆明~南寧)および内昆鉄道(内江~昆明)の開通などにより、雲南省の省都昆明を中心に西南部全域での結びつきが強化されている。

  筆者も実際に南昆鉄道の汽車に乗車しルートを辿ったが、非常に高度な基準で設計されたⅠ級路線であった。余談ではあるが、この鉄道路線で移動中に偶然にも自分たちと一本違いの列車が鉄道事故に遭い、路線が不通となる事態になったことがある。筆者は事故のことを調べようと鉄道関係者に尋ねたところ、鉄道警察[乘警]に連行されかけた。

  そういった或る意味で国防上、国家政策上重要な鉄道路線であるこの南昆鉄道。ここを通じて、さらに「“橋頭堡”戦略」の中で整備される「雲南国際鉄道」を通じて、中国の影響力は経済的拡大という最早共産主義云々とは程遠い形で東南アジアに一層表面化してくるであろう。そしてこれらが、中国の南方進出を強化するのみに終わる「メコン河流域開発計画(GMS)」の美名のもと進められる。



  ベトナム共産党の機関紙である『Nhân Dân』(英語版)“ADB: Mekong Delta region needs further suppor”の中で、日本も出資するアジア開発銀行(ADB)がメコン・デルタの接続計画実現の可能性の査定のために融資を行おうとしているという動きを報じている。その記事で指摘されているのは、「隣国間の接続を強化し競争力を増加させてのメコン圏の経済成長」(ADBベトナム事務所の小西歩所長ら)を図るため、「2006年以来、ADBは大メコン圏南部の回廊プロジェクトに資金援助」をしてきたという厳然たる事実である。「謀略鉄路」(1)でADBに触れた理由がここに有る。



  繰り返し『春城晩報』の「雲南各界為“橋頭堡”建言獻策」より昆明鉄道局の副局長、王耕捷の言を引用しておく。

  「雲南国際鉄道・東線の中国~ベトナムは、昆明—玉溪—蒙自—河口
  「雲南国際鉄道・西線の中国~ミャンマーは、昆明—大理—瑞麗
  「雲南国際鉄道の中国~ベトナム(東線)、中国~ミャンマー(西線)、共に全面的に工事を開始している





  そして最後に、このタイミングで出てきた記事を紹介して、この「謀略鉄路」シリーズ記事の末尾としたい。

  その記事とは2010年6月15日の『新華網』「新中國32萬大軍抗美援越紀實」と題されて掲載された記事であるが、その中では雲南とも広西とも隣接する東南アジアの国・ベトナムとの「永遠なる中国とベトナムの両国関係の歴史」の美談が語られている。それは1965年当時、ベトナム共産党(当時、ベトナム労働党)主席であったホー・チ・ミンが中国を訪問した時のエピソードであり、中国文史出版社の『毛澤東眼中的美國(=毛沢東の眼に映る米国)』の中でも詳しく書かれている。詳細は記事をよく読んで頂きたいが、そこに有るのは、中国から南方に対しての「謀略鉄路」の宣言にも等しい、明白なる示唆の想起である。要旨のみ述べる。

  1965年春、柳州。
  一列の列車が北へ疾駆し、ベトナム民主共和国の主席のホー・チミン[胡志明]が秘密裏に中国を訪問。毛沢東は長沙でホー・チミンと会見。
  ベトナムの情勢について、毛沢東は既に知っていた。
  2月10日、ベトナム人民の侵略反対闘争を支援するため、北京で150万人が集会のデモを行った。天安門の楼上で、毛沢東と北ベトナムの中国駐在責任者、民族解放戦線の中国駐在代表団の団長などと親しく語らい「アメリカ人は更に来る、きっと朝鮮戦争が再来する」と言った。
  そして今度はホー・チ・ミンに会い、毛沢東は口を開いて言った。

  「胡(ホー)主席、あなたは越南(ベトナム)出身で、私は湖南(湖南省)出身です。私達は家族も同然です」
  「どんな困難がありますか、人が必要なら人を、物を必要なら物をと言ってください」

  ホー・チミンは毛沢東にいくつかベトナムの情況を述べて、人民服のポケットの中から1枚のメモを取り出した。
  1枚はベトナム、ハノイ以北の12条の道路建設図であった。

  毛沢東は迷いなく要求を承諾、周恩来は毛沢東の電話を受け直ちに参謀本部の羅瑞卿、楊成武らと相談。
  周恩来は簡潔に「この度ホー・チ・ミン主席は1枚の図面を持ってきた、私達は彼に12条の道路修理を手伝う必要がある」と、そばにいる楊成武にベトナム北部道路の説明図を広げた。

  …(略)…

  …このように雄壮偉大な戦う業績は友情の凱歌として…永遠に中国とベトナムの両国関係の歴史として記されます。


  周恩来は1968年にも中国人民解放軍に、人道援助を装っての雲南からルアンプラバンまでの幅6m、約1000kmのラオス・中国友好道路建設に着手させている。竹内正右・著『モンの悲劇』(毎日新聞社)によれば、後に「中国の北ベトナムへの牽制だった」と周恩来に言わせたように、これはラオス政府の査察なしに戦争の真っ只中進められていた。米国が引揚げた後、北ベトナムのインドシナ三国支配を恐れる中国のラオス道路戦略である。

  このルートと同じく南下する道路建設が現在すすめられ、そして上のような歴史的背景を持つ道路建設の記事が、今このタイミングで「時事」欄で掲載されているのである。



(終り)






参考)過去の関連ニュース

◆歴史は生きている 小さな町の小さな橋の大役
asahi.com(朝日新聞社)よりシリーズ「歴史は生きている」
http://www.asahi.com/international/history/chapter06/02.html

  …(略)…
  ミャンマーの港町から雲南省にガスと石油のパイプラインを建設するという。中東やアフリカからの石油をミャンマー経由で雲南省、さらには重慶へと流すのだ。そうすれば、どこかの国がマラッカ海峡を封鎖しても、中国は石油を確保できる。重要な戦略的意義がある、と報じられている。
  援蒋ルートはまだ生きている。そんなことを感じつつ、啘町を去った。



◆「雲南欲借大通道謀劃“國際經濟走廊”」
内蒙古科技信息網より西部開発網の記事
http://www.nmsti.com/list.aspx?id=3514

  …(略)…
  「三亜(東アジア、東南アジアと南アジア)」の「国際経済回廊」が完成すれば、「ミャンマーの鉄道網に助けを借りてインド洋沿岸に直行」でき、「東南部沿海の回り道をするマラッカ海峡を通じてに比べてインド洋に3000km以上短縮」出来るようになる。



◆中国主導の南北回廊 ラオスの物流に大変化
└世界日報(注:統一教会系列紙)
http://www.worldtimes.co.jp/special2/asia07/html/070307.html

  …(略)…
  インドシナ地域特有のラテライト(赤土)を掘り起こして、山谷を切り開いてつくった黒いアスファルトの下には、「赤い野心」が秘められていることを忘れてはならない。アスファルトの照り返しは、将来、わしづかみにしようというインドシナに伸びる竜のつめのようにも思えるからだ。









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  1. 2010/06/29(火) 13:23:06|
  2. シリーズ記事「謀略鐵路」
  3. | トラックバック:0
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