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2013年初めの中国動向雑感

1. 元日の人民日報に見る2013年の中国

1.1 気になる2012年元日号との違い

  本ブログの先の記事「金正恩への祝電に見る『中国の本音』」(※1)で述べたとおり、2012年元日に於いて、北朝鮮と中国は今も依然として強固な同盟関係ではあるものの、路線的には全くの差異を内包していた。その後1年が経ち、2013年最初の人民日報の1面を観察すると、不思議なことに新年の賀詞交歓については対ロシアのみが掲載されている形となっており、北朝鮮については1行も触れられていない。

  REMB20130101.jpg
  ▲2013年1月1日『人民日報』(クリックで大きくなります)

1.2 北朝鮮への中国の政策

  この事実は、明らかに中国の対外政策の中で、北朝鮮の優先順位が下がったことを示唆する。もちろん、これを以て北朝鮮が重要ではなくなったというわけではない。ならばこの事実は何を意味するのであろうか。

  可能性として考えられるのは、中国について北朝鮮はもはや喫緊の問題ではなくなったという点だ。

  先の記事(※1)で述べたとおり、「中国の対北朝鮮外交は対東南アジア外交の踏襲である」といわれるように(2010年3月17日、韓国紙『東亜日報』)、中国は対外開放政策や交通インフラの整備を通じて、経済や貿易でのプレゼンスを上げ、周辺国への影響力を拡大していた。そしてそれは北朝鮮も例外ではない。
  その中で、共産主義を放棄し改革開放路線を採用せよと北朝鮮へ圧力を感じさせるのが昨年2012年元日の記事であった。
  1つの解釈としては、これが非常に順調に進捗しており、わざわざ機関紙を通じて発表するほどのことではないという見方だ。

  また、中国も新体制となって最初の年であり、対北朝鮮政策についての温度差や、施策での一致した方向性を見出し切れていないという情報もある。
  先軍政治を掲げ、国防委員長(金正日)が最高権力者である北朝鮮の現体制は、中国人にとっては文革期の長老を除外しての人民解放軍中心の政治路線(林彪路線)と相似するがゆえに嫌悪とノスタルジーの対象であると聞いたことはある(※2)
  結果的に、太子党であり様々な権力闘争の渦中にいる習近平体制は、いまだこの国との付き合い方を図りかねていると言える。

  韓国の東亜日報
  ▲2010年3月17日『東亜日報』(クリックで大きくなります)

1.3 北朝鮮以前に、中国の1番の問題は「腐敗」!?

  もう1つの見方としては、外交政策にとどまらず、内政を含めて、優先順位を下げたという見方である。これについては、紙面の一番上の記事が参考になろう。中国共産党中央政治局がクリーンな政治の確立と徹底した腐敗対策を行うべく、習近平総書記を中心に会議を開いたというニュースがある。

  中国にとっては、汚職が存在しているかどうかが問題なのではない。むしろ汚職や役人の腐敗には、免疫がある国家だ。問題なのは、中国共産党党員と一般人民の間にはいかんともしがたい格差が横たわっており、選ばれた人間が党と国家のために運営するというイメージに泥を塗ることは、中国共産党にとっての国内世論的に最大の打撃となるからだ。

  昨秋には当時の温家宝首相の一族の腐敗が明るみに出た。首相就任後に約27億ドルの巨額な蓄財をしたと米紙ニューヨーク・タイムズが報じたもので、中国当局は同紙のサイトへのアクセスを遮断した。

1.4 そもそも中国における「腐敗」問題

  中国に於いては、そもそも腐敗問題と言うものは権力闘争の中で必ずと言っていいほどに出てくるワードである。この時期での反腐敗闘争は、温家宝を中心に、過去の政権の実力者への牽制球と捉えることもできよう。

  記事で取り上げられた会議では「新たな情勢下で反腐敗闘争の現状は依然として厳しく、少数の党員幹部は趣旨に対する意識が薄く、形式主義と官僚主義の問題が突出している。また浪費傾向が著しく、一部の分野では腐敗問題が多発し、幹部、特に高級幹部が違法行為を行っている」と指摘しているのである。
  この「新たな情勢下で」というのは、「新政権(新体制)の下でも」と解釈することも可能であり、「官僚主義」というのは、建国後に入党し技術者として政界に上ってきた「官僚」である温家宝への当てこすりと考えられないだろうか。

1.5 胡錦濤の新年賀詞に出てきたワード

  もう一点気になったのは、胡錦濤の新年賀詞の中で、「経濟發展方式轉變」というワードが出たことだ(※3)。これは昨年の賀詞の中には無かったように思われる。
  これは言葉の通り、経済発展の構造の転換に関するテーマであり、ローエンドや模倣品から早期に脱却して産業構造を質的にも転換しようというものだ。外資依存の量的拡大のみでは中国経済の先行きの頭打ちは明白であり、貧富の格差も拡大の一途を辿るだけであるがゆえに、自国で質的向上を目指し歪んだ構造を改善していかなければならない。
  胡錦濤は、この問題を経済政策のメインに置くと堂々と宣言している。今中国で非常に大きな課題となっているのではないか。

  



2. 『南方週末』事件

2.1 この事件の本質は何なのか

  こちらもやや遅れながらとなるが、中国広東省の週刊紙「南方週末」の記事が当局の指示で差し替えられた問題についてである。

  様々な論評が行われているのだが、この事件について知人の台湾人の中国共産党専門家は以下のような見方を示す。

  …この事件の本質は、中央宣伝部の位置づけの問題ではないか。中央宣伝部のイデオロギーに対する独裁は、いわゆる「党がメディアを支配する」問題ではない。この体制は延安時代に毛沢東が確立したものであるが、先ず全党の世論を掌握し、建国後に全国の世論を掌握した。そして、全て一様な世論[輿論一律]を確立したのである…

  …この独裁体制は、中央宣伝部が全党、全国、全世界を圧倒することができることになるという異常事態を招く。例えば、国外[境外勢力]のリー・クアンユー(シンガポール元首相)やクリントン(アメリカ合衆国元大統領)の回顧録についても、中央宣伝部は筆を入れるという権限があり、「身内」の中国共産党指導者に対しても同様の権限を持つ。以前の「政治的業績」で見る限り、温家宝や胡錦涛に対しても、だ…



2.2 改革派の仕掛けた権力闘争なのか

  『南方週末』事件は広東省共産党宣伝部当局の介入で改ざんされたという問題だが、この問題は党内各勢力の駆け引きにも影を落としている。南方週末記者と当局との仲介を模索する広東省トップの胡春華氏は「ポスト習近平」の有力候補の一人であり、共産主義青年団(共青団)を出身母体とする改革派グループでもある。

  胡氏の出身母体である共青団の機関紙「中国青年報」は、16日付で「メディアの責任は社会の真相を追うことだ」とする論評記事を掲載(※4)。「政府とメディアは対等であり、互いに理解し尊重し合うことから始まる」とも主張し、南方週末記者と当局とを仲介する胡氏を側面支援する構えを示した。

  中国青年报2013年01月16日
  ▲2013年01月16日『中国青年报』

2.3 雑感

  仮に、改革派が仕掛けた権力闘争だとするならばという仮定に立った話であるが、改革派こそが実は極めて守旧派的な発想に囚われているということもできる。これについては多くを述べない。


※1 金正恩への祝電に見る「中国の本音」
   (2012年1月4日 本ブログ過去記事)
※2 文革博物館・文革大辞典・文革学
   (2010年8月6日 本ブログ過去記事)
※3 胡锦涛主席发表2013年新年贺词:携手促进世界和平与共同发展
※4 媒体的责任是要追寻社会真相冯雪梅
   (2013年01月16日『中国青年报』)



















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テーマ:東アジア問題 - ジャンル:政治・経済

  1. 2013/01/20(日) 22:47:33|
  2. 獨評立論-中国
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