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2011年末の雲南関連動向(3)

(続き)



8. 内外変化とを表す報道事例

8. 1 インド洋への地勢的優位を持つ雲南省

  いずれにしても以上のような変化が雲南省内外に起こっているのはまぎれもない事実である。

  1枚の世界の地図を広げ、中国からインド洋への最短ルートを探せば、視線は最後に南西で辺境の雲南省にロックされるであろう〔※24〕
  ミャンマー情勢は、中国からインド洋への最短ルートに位置するが故に、雲南省を拠点に西南方向への影響力拡大を目論む中国の戦略に直結する。

8.2 雲南国際鉄道・西線のライン

  これまでも触れてきたが、雲南~ミャンマー間には様々なインフラ計画がある。

  2010年6月2日には中国の温家宝首相がアジア諸国への訪問で最後にミャンマーに到着し、ミャンマーのチャウピューから雲南の昆明までの石油パイプライン計画は、アフリカ北部と中東から輸入され中国向け石油の80%パーセントを運ぶだろうということを述べている〔※25〕

  また、雲南国際鉄道という計画がある。

  2010年5月、雲南省の政治協商会議は昆明で雲南の企業家とフォーラムを開催しているのだが、そこでは全省各界の政協委員、関連部門の責任者と各業界の百数人の企業家が一堂に会し、「“橋頭堡”建設」をめぐって戦略実施に力を尽くし推進するための問題解決の新構想や提案がなされている〔※26〕

  このフォーラムでは省委員会副書記(当時)の李紀恒が「橋頭堡の建設は国家戦略に符合する」として

  中国の西へ南への開放的な橋頭堡の建設は、中央の雲南の発展に対する新しい位置付け、新しい要求である。
  橋頭堡の建設計画の関連目標任務は産業発展、インフラ建設、対外開放協力など。各内容は国家戦略の意図と雲南の現実に符合する。


と述べ、昆明鉄道局副局長(当時)の王耕捷が要旨以下のように述べた。

  鉄道建設を強化すべき。
  
  雲南国際鉄道・東線(中国~ベトナム)は、昆明―玉溪―蒙自―河口のルート。
  雲南国際鉄道・西線(中国~ミャンマー)は、昆明―大理―瑞麗―皎漂のルート。
  
  雲南国際鉄道の中国~ベトナム(東線)、中国~ミャンマー(西線)、これらは共に全面的に工事を開始している。


 この鉄道の行先についてフォーラム翌日の昆明現地紙『生活新報』は 「建昆明至皎漂鐡路 是“橋頭堡”建設突破口」と題して新しい鉄道についての意義を強調していた〔※27〕

  昆明から皎漂へ至る鉄道の建設 これは“橋頭堡”建設の突破口である。
  南西への“橋頭堡”戦略の実施に関して肝心な点は、戦略の突破口をよく選ぶことにある。
  総じて述べれば、昆明から皎漂へ鉄道を建設することを以て、西南の港への貫通を求める重点工程となす。


  この記事のタイトルで「“橋頭堡”建設の突破口」とまで強調される鉄道建設計画の目的地「皎漂」こそ、アフリカ北部と中東から輸入され中国向け石油の80%を運ぶだろうと指弾されている昆明までの石油パイプライン計画の始点・チャウピューなのである。

8.3 報道の変化

  しかし、この「全面的に工事を開始している」雲南国際鉄道の西線(中国~ミャンマー)についての報道が、ミャンマー情勢の変化故か、最近急激に少なくなった。

  パイプライン計画に関する報道も同様であり、雲南省の開発のアウトラインは今もインド洋進出であるものの、ミャンマー方向へのインフラ関連報道よりも、むしろ「橋頭堡」雲南を橋頭堡たらしめる環境整備としての鉄道やインフラに関する報道の割合が増えている。



9. 最近の「“橋頭堡”戦略」関連報道事例

  雲南としては、中国内陸の最前線としての「橋頭堡」という概念であるため、当然ながら内陸との連携も必要不可欠である。
  対外的に設備を拡充し接点を増やしても、内陸と隔離された山岳地帯のままでは「橋頭堡」は「橋頭堡」たりえない。

  中國中鐵(China Railway Engineering Corporation)という中国鉄道関連事業専門のグループ会社がある〔※28〕

  その中鐵十八局4会社が、計画中の雲桂(雲南~南寧)鉄道の広西チワン族自治区内での最長のトンネルである坡录元隧道で順調に工事を進めているというニュースが12月8日に流れた〔※29〕。 
  雲桂鉄道は南西の華南沿海地区の鉄道の骨幹たるラインで、雲南・広西にまたがり、雲南の新昆明南駅から広西の南寧駅へ至るものであるという。

  ビッグビジネスのチャンスであるとして指摘されている「“橋頭堡”戦略」に、隣接する広西がいかにしてコミットし、さらに自らも利益をあげるべく市場や物流ルートを開拓していくかという意思が存在することは過去に明らかにしたが〔※30〕、その連携のための鉄道建設は着々と進行しているといえる。

  おりしも日本でも話題になった北京・上海新幹線の事故の直後でもあり、国内の鉄道建設資金が緊迫している中ではあったが、4会社の雲桂鉄道プロジェクト部は、合理的な手配や資金の節約、設備のレンタル費用を減らし、同時に安全性の考慮も兼ね備えつつ作業を進めてきたという。



10. 雲南国際鉄道・東線に関連する雑記

  12月14日には、雲南大学で滇越鉄道の専門家・段錫氏によるフォーラムが“雲南ベトナム鉄道と雲南の百年”のテーマで行われている。
  この鉄道には筆者も乗車したことがあるが、現在は旅客列車は走っていない。
  しかし、雲南国際鉄道・東線に沿うルートの鉄道であり、中国国鉄昆河線として、一時期は国際列車も走っていた。
  元々はフランスが植民地時代にベトナム方向から建設した鉄道で、雲南省は国内と鉄道で結ばれていないのに、国外とは鉄道で結ばれていた格好となっていた。雲南省の地勢的な特徴を最もよく表していたと言えるかもしれない。
  このフォーラムの講師である段錫は滇越鉄道について著作も有り、筆者も一冊、以下のような書籍を持っている。

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(終り)




【参考】

※24 云南:内陆边陲成了开放前沿
    (2010年7月6日『中华工商时报』)
※25 Is Burma the first Causality of Chinese Imperialism?
    (2010年5月27日『Asian Tribune』)
※26 雲南各界為“橋頭堡”建言獻策
    (2010年6月1日『春城晚報』)
※27 建昆明至皎漂铁路 是“桥头堡”建设突破口
    (2010年6月1日『生活新报』)
※28 中國中鐵股份有限公司(China Railway Engineering Corporation)
※29 云桂铁路广西段第一长隧洞门“别有洞天”
    (2011年12月8日『中国网滨海高新』)
※30 「謀略鉄路」(8)
    (2010年6月23日 本ブログ過去記事)


















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