BLOG「獨評立論」

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「謀略鉄路」(1)

  昨日、久しぶりに書店へ出かけて国際情報誌『SAPIO』の最新号を見かけたのだが、「世界謀略鉄道の旅」と題された特集が組まれており南満州鉄道(満鉄)の特急「あじあ」が表紙を飾っていたこともあって購入した。

  自身も鉄道には興味があり、中国の軍事鉄道の路線配置やその内実を論文として提出したことから政治に興味を持った経緯もあって、北朝鮮の鉄道についての文章や軍事兵器としての列車などが紹介されていたこの特集はなかなか楽しめる内容であった
 
 当然なから雑誌の性格上、この特集では「日本の新幹線の売り込み」「満鉄の内実」というような記事が大きく掲載されていたが、このなかで筆者が注目したのは「援助外交 アフリカからアフガンまで資源国家を狙い撃ち 中国『侵略鉄道』が世界を真っ赤に染める」という当誌編集部による記事であった。

  詳細は当誌を購入して読んで頂きたいのだが、その中では「中国のシルクロード高速鉄道計画」として、中央アジアを通じてのユーラシア全域に対し、いま中国が積極的なアプローチを進めている。
  この地には石油や天然ガスが多く眠っており、パイプラインや道路など物流のネットワークをめぐって既に競争が始まっているのだ。

  中国は多方面からこの地域に対する積極的なコミットを画策している。最近の報道の例で言うならば、「ビジネス・ニュー・ヨーロッパ」紙が報じた記事“China opens up way for Kazakh grain exports to Asia”が挙げられよう。その中では、

  中国はアジアへのカザフスタンの穀物輸出のために道を開く。
  カザフスタンは、中国が領土内の通過禁止を解除した後、今年東アジアと東南アジアに3mtの穀物輸出を計画している。
  中国は一流の穀物生産国だが、国が今年輸入をかなり増加させるという兆候が既にある。
  しかし、アルマトイにまれなデモを引き起こしている中国の土地購入の噂が、カザフスタンで非常に論議として持ち上がっている。

…といった現地からの生々しい実情が報道されている。

  これは建国前後に実行されたウイグル・チベットに対しての、強引ともいえる「中央」への引き寄せを想起させる。ウイグルへの侵略に対してもその際に鉄道はその効果を遺憾なく発揮した。そもそもウイグルや甘粛といった「中国西北」地区への鉄道は、中国共産党中央委員会主席であった毛沢東が広大な西北地方に運輸手段がないことを懸念して敷設せしめたものであるが、その中でも特にそれを進める背景としての国家資源が、玉門の石油であった(――『「留用」された日本人』)。

  当時から中国の戦略は変わっていない。もちろん現代の主権国家の枠組みが規定された国際社会においては、ウイグル行ったようなことはまずあり得ないであろうが、それに近い動きと戦略で中国は動いている。これはなにも中国にとどまらず、ロシア・EU諸国・韓国なども自国の資源獲得のため、外交戦略として動いている。韓国の「中央日報」「李大統領「韓-ウズベク結ぶ新シルクロードを」として報じており、ロシアなども南下しての資源獲得や市場開発に対して積極的な動きを見せている。

  しかしこれが普通の国家としての動きであり、事実日本においても麻生太前総理が外相時代の2006年に「自由と繁栄の弧」を提唱し、ウズベキスタンの先のアゼルバイジャンからインド、マレーシア、ベトナム、台湾、日本とユーラシア大陸外周に成長してきた新興民主主義国家を結ぶ構想を唱えている。日本の外交が戦略外交に脱皮する基礎となったこの構想は結局陽の目を見なかったが、それが国家戦略として国際的に今行われているのである。

  だが日本における麻生自民党の選挙における敗北、鳩山民主党政権の誕生によって、この戦略は今や日本が国際的な「世界の財布」として金を出すという非常にゆがんだ路線になり替わりつつある。
  USACC(United States - Azerbaijan Chamber of Commerce)が、“ADB Expands Trade Finance Program in Azerbaijan”と題して発表しているが、アジア開発銀行(ADB)がアゼルバイジャンで貿易金融プログラムを行い、それを中国国営通信社の新華社が伝えたというのである。私はこのニュースに、その流れが象徴されているように思えてならない。

 (続く)
  1. 2010/05/21(金) 17:10:29|
  2. シリーズ記事「謀略鐵路」
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